国保の扶養とは

国民健康保険の基礎知識

国民健康保険に「扶養家族」は存在しない!?

更新日:2021年04月02日

健康保険には「国民健康保険」と「社会保険」の2種類がありますが、この2つには大きな違いがあります。それは「扶養家族」の扱い方です。

扶養家族とは、会社員の夫を持つ専業主婦や、その子供など、家族の誰かに収入面において支えられている人をいいます。


会社員などが加入する社会保険では、年収130万以内の家族・親族を扶養に追加することで、加入者1名分の保険料で人数分の保険証をもらうことができます。


ところが国民健康保険の場合は、扶養家族という考え方がないため、前述のような関係が成り立ちません。



国民健康保険に家族で加入するとどうなるの?

国民健康保険では、世帯内の加入者の年収合計、世帯内の加入人数をもとに保険料を算出します。世帯年収にかかる所得割と、加入人数にかかる均等割が算入されるため、世帯年収が高いほど、また、加入人数が多いほど保険料は比例して高くなります。(但し上限はあります。)


参考ページ:国民健康保険の計算方法



会社を退職した人は要注意!

前述の通り、会社員などが加入する「社会保険」と、無職の人や個人事業主などが加入する「国民健康保険」では、扶養家族の扱い方の違いにより保険料が大きく変わってしまうことがあります。


ここで注意が必要なのは、会社を辞めて「社会保険」から「国民健康保険」へ切り替えるときです。扶養家族が多い人の場合、国民健康保険に切り替えたとたん保険料が上がってしまうことがあります。


例えば次の場合、年間保険料が115,820円も増加してしまいます。


例)東京都世田谷区在住。本人以外に扶養家族が2名いるケース。

本人(夫) 40歳 年収400万円
(月額報酬26万円)
39歳 年収100万円
12歳 収入なし

会社員時代の保険料は年間281,576円(賞与分含む)、これを国民健康保険に切り替えると、年間397,396円となります。


上記の例は本人以外の家族は2名ですが、これが3名になっても社会保険の保険料は変わらないのに対し、国民健康保険はその分上積みされます。もっと負担が増えることになります。



退職した人は「任意継続」を検討しましょう!

任意継続とは、会社で社会保険に加入していた人が最大2年間、社会保険の健康保険を継続できる制度です。


参考ページ:国保と任意継続、どっちがお得?


社会保険の健康保険制度なので、扶養家族についても会社員時代と同じように扱ってくれます。ただし保険料は任意継続として別途計算されますので、会社員時代よりは高めになってしまいます。


上述の例で、国保と任意継続を比較すると、年間37,348円だけ任意継続の方が安い結果となりました。


参考ページ:国民健康保険と任意継続の保険料を比較



無職になる場合は国保の軽減・減免も使えるかも

会社を辞めて無職になる人で扶養家族がいる場合は「任意継続が得かも」と記述してまいりましたが、一方で国民健康保険には軽減・減免という制度があります。


参考ページ:国保の軽減・減免


会社を辞めた理由が、会社都合(リストラ、人員整理など)であれば、このような制度を利用することができ、保険料を大幅に抑えることができます。


社会保険から別の保険制度へ切り替える際は、扶養家族のことなどご自身の状況を踏まえ、しっかり検討されることをおすすめします。